Q1
丹波布を織る村上樹里さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?
A1
兵庫県丹波市青垣町の伝統的木綿織物、丹波布(たんばぬの)を製作しています。
丹波布は、綿から糸を紡ぎ、草木で染め、織り上げる、それら全ての工程を人の手で行なっています。
また、養蚕が盛んだった時代に、商品にならない屑眉をほんの少し木綿織物に織り込んだことから、それが丹波布の特徴となっています。
伝統的な丹波布は、丹波の素朴な空気感を表すかのように、渋く静かな風合いのものが多いのですが、それと比べると、私の織る丹波布は明るい印象を受けられるかもしれません。
日々の生活の中で丹波の自然の豊かさや多様性を感じるにつれ、いつの間にかそのような作風になっていったような気がします。
昔ながらの丹波布を継承すること、それと同時に、現代を生きる私自身が感じるものを表現すること、両方を大切にしながら織り続けています。
工房からの風では、そんな丹波布を肌で感じられるストールやバッグ、日々の生活で使えるがまぐち小物やテーブルウェアなどを展示します。
日々使う物だからこそ、人の手、空気、水、光に触れます。そうした刺激を受けることで、草木染めの色や木綿の手触りが、少しずつ変化していきます。
そんな自然の移ろいを、生活の中で楽しんでいただけたらと思っています。
ぜひ、丹波で生まれた丹波布を、手で触れてみてください。
みなさまにお会いできることを、とても楽しみにしています。
Q2
ムラカミ染織で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。
A2
この織機は明治時代初頭のもので、とてもシンプルな作りをしています。
そのため、私でも簡単に持ち上げられるほど軽く、織っていると織機の木材が揺れ動きます。
最初はそれに慣れず、少し戸惑いました。
ただ、織機の揺れと自分のリズムが一致した時、織機と身体とが一体化しているかのようにとても心地よく織れるのです。
数年前、長年染織に携わっておられた大先輩がご高齢のため引退される際に、この織機を譲っていただきました。
そして元々はその先輩もまた、素敵な縞模様のもんぺを履いた方から、この織機を譲り受けたそうです。
先輩から織機をいただく際、「あなたにバトンを渡したからね」と言っていただきました。
約150年前から何代も受け継がれてきたそのバトンを落とすことなく走り続け、いつか私も次の世代へ渡すことが出来るだろうか。
この織機と共にあった人々と伝統の流れに思いを馳せながら、日々、織り続けています。
Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。
A3
秋田の曲げわっぱのお弁当箱です。
私が丹波市へ移住することになり、それまで働いていた職場を退職する際、同僚たちが贈ってくれたものです。
この時、私はとても驚きました。
実はちょうど、曲げわっぱのお弁当箱が欲しくて探していたところだったのです。
ただそのことは誰にも言っていなかったため、箱を開けてわっぱの姿を見た時、「どうやって私の心を読んだ・・?」と衝撃を受けたのです。
同僚に、「なんとなく、わっぱが好きだと思った」とあっさり言われ、見透かされているなぁと、なんだか嬉しくなったのでした。
丹波へ来て、毎日のように使ううち、今では良い風合いを醸し出しています。
壊れることもへたることもなく、秋田の職人さんの技術を感じます。
周りの人から「そのお弁当箱、いいね」と言われるたびに自慢しつつ、これからも大切に、この曲げわっぱを使い続けたいと思っています。
素敵なストーリーがたくさん散りばめられたメッセージですね。
『 約150年前から何代も受け継がれてきたそのバトンを落とすことなく走り続け、いつか私も次の世代へ渡すことが出来るだろうか。』
走り続けるその過程にある「工房からの風」への出展。
ぜひ豊かな経験にしていただきたいと思います。
そして、わっぱのお話も!
わっぱ、会場に持ってきてくださるといいなぁ。
ムラカミ染織さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
中央の花壇のほとりです。
和紙のPAPER BRUT さんがお隣。
糸車ももってきてくださるそうですので、きっとすぐわかりますね。
ムラカミ染織さんのインスタグラムはこちら
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そして、映像はこちらです。
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